2009 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織性蛋白質と脂質二重膜のダイナミックな相互作用の直接観察と動力学的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
瀧口 金吾 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 助教 (20262842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 専 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30273460)
梅田 民樹 神戸大学, 大学院・海事科学研究科, 准教授 (90243336)
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Keywords | 巨大人工膜小胞(リポソーム) / 細胞骨格 / 生体膜形態制御 / 光学顕微鏡 / 電子顕微鏡 / リアルタイムイメージング |
Research Abstract |
細胞や細胞内小器官は、脂質二重膜を基本構造に持つ生体膜によって外界から区画されることによりその機能を維持発揮している。生体膜の形態調節や変形、移動運搬は脂質二重膜と相互作用する細胞骨格線維をはじめとする蛋白質によって制御されると考えられているが、その詳しい機構はまだ分かっていない。本研究では、真核生物のSeptinや、細菌の細胞分裂装置の1つ、Z-ringを形成するTubulin類似蛋白質FtsZを巨大リポソームに添加すると激しい膜突起形成が生じることを明らかにした。この過程をリアルタイムイメージングし、さらに変形した巨大リポソームを電子顕微鏡で観察した結果、同様な膜変形が生じているのにも関わらず、膜突起上で形成されたSeptin線維とFtsZ線維の配向が全く異なっていた。Septin線維はリング状もしくは螺旋状に膜突起を取り巻くように重合するのに対し、FtsZは突起の長軸方向に沿って線維を形成し、さらにそれらの線維が側面で互いに作用することで管状の構造を構築していた。以上の結果は、同じ様な膜突起形成が見られる場合でも、原因蛋白質の種類によって膜突起誘導機構が違っている可能性を明らかにした。このことは生体内には多様で複雑な膜のネットワークを構築するために、異なる膜突起誘導機構が存在している可能性を示している。現在、本研究で観察されたような、リポソーム膜の表面で蛋白質が重合・自己組織化することによって起きる膜突起形成の機構に関して、膜弾性モデルに基づいた理論的研究に着手している。
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Research Products
(6 results)