2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体準希薄溶液中で選択溶媒に誘起されたミクロ相分離構造のダイナミクス
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015011
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 茂 名古屋工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50262944)
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Keywords | ブロック共重合体 / 準希薄溶液 / 選択溶媒 / 巨大グレイン / フォトニック結晶 / 小角X線散乱 / レオロジー / 小角中性子散乱 |
Research Abstract |
申請者はこれまでに、この超高分子量ブロック共重合体の準希薄溶液に貧溶媒を添加することによりミクロ相分離が誘起され、秩序-無秩序転移点近傍で「単結晶」様の巨大グレインを自己組織に形成することを発見した。前年度は、貧溶媒の添加によりミクロ相分離が誘起された原因を調査し、共通溶媒と貧溶媒の混合溶媒が強い選択溶媒として機能したことが分かってきた。さらに、貧溶媒を添加することにより共通溶媒までもが一方の相から他方の相に偏って体積分率の大きな変化が起こることが分かった。そこで、高分子や溶媒に重水素化物を用いて、小角X線散乱法および小角中性子散乱法により分子鎖の広がりや相分離構造の変化とグレイン成長のメカニズムを詳細に調べた。また、この様な準希薄溶液中でのミクロ相分離構造のダイナミクスには興味が持たれるので、動的粘弾性も行った。中性子散乱測定は22年度前期と後期の2回の実験を計画していた。前期において測定試料の濃度や組成の最適化を行った。後期の実験機会は原子炉の長期メンテナンスのためビームタイムの配分がなかったため、実験できなかった。そこで、小角X線散乱法によるグレイン構造の成長メカニズムについて検討した。高温において無秩序状態にしたのち、室温に温度降下したところ、まず、温度変化(偏斥力変化)による構造周期の変化が見られた。それが、終了するとともにグレイン構造形成が開始し、粘弾性測定における平坦部領域が広い周波数領域で観測され始める事が分かった。また、構造の規則性(散乱ピークの半値幅の低下)は周期の変化期とグレイン構造の成長期の2段階で起こる事が分かった。
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