2009 Fiscal Year Annual Research Report
せん断流動誘起によるシリカサスペンションの凝集構造移転とそのレオロジー特性
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015013
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
川口 正美 Mie University, 大学院・工学研究科, 教授 (30093123)
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Keywords | シリカサスペンション / せん断応力の不規則で持続的振動 / 凝集構造 / レオカオス / レオロジー / せん断流動 / 構造転移 / せん断速度 |
Research Abstract |
ヘキサデカンで表面修飾したヒュームドシリカをジオキサンに分散したシリカサスペンションが、あるせん断領域においてせん断応力が不規則で持続的に振動し続ける現象は、シリカ粒子の形成する凝集構造がせん断流動によって誘起される構造転移によって生じるものと考えられる。そこで、1) 分散媒の種類を変化したり、混合方法を変えたり、さらには高分子添加による枯渇作用を利用したりして、凝集構造の制御を行う、2) その凝集構造の解析とレオロジーと光散乱実験を同時測定(流動光散乱測定)などから構造転移とそのダイナミクスとの関連性を明らかにする、3) 振動がレオカオスであるか否かを既に提案されている解析法を駆使して判定する、4) レオカオスであるか否かに関わらず、振動を生むのに必要な粒子の凝集構造は何であるのか、せん断流動誘起前後における粒子の凝集構造の関連性などを明らかにすることを目的で検討した。 本年度は、1)の高分子添加による影響および3)について検討した。1)高分子には標準試料であるポリスチレン(PS)の分子量を変え、分子量に関わらずPS濃度を一定にして調製したシリカサスペンションの場合にも不規則で持続的な振動がせん断応力に観察されたが、高分子の添加効果は殆んど観察されなかった。一方、線形領域での動的粘弾性には枯渇作用によるシリカ粒子の凝集構造の補強効果を示唆するような貯蔵弾性率の増加と線形領域が広くなることが観察された。3)せん断応力の不規則で持続的な振動がレオカオスであるか否かをPS無添加のシリカサスペンションの場合について、カオスの判定に良く用いられるポアンカレ断面図を描いて検討したところ、せん断応力に関係なくそれぞれの断面図の終点はある点に収斂していくように見えるが、その様子はらせん状の軌跡で漸近してものばかりではなく、レオカオスであるとの断定は困難である。
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