2009 Fiscal Year Annual Research Report
ジャミング・ガラス転移の統一理論の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
早川 尚男 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 教授 (90222223)
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Keywords | ジャミング転移 / ガラス転移 / 非平衡 / 粉体 / せん段 / ナノクラスター / グラフェン / 久保公式 |
Research Abstract |
当該年度に出版された論文を分類するとジャミング転移、せん断粉体系の液体論、ナノクラスターと基盤の衝突、外場中のナノ粒子の輸送、微小重力下での粉体ガスの実験等になる。このうちせん断粉体系の液体論の論文は4つを数えており、せん断流体の時間相関関数のロングタイムテールのベキ指数がせん断によって小さくなることや同時刻速度相関等に現れる長距離相関、揺らぎの定理や一般化Green-Kubo公式の証明等の論文がある。これらの研究を通して第一原理的なせん断粉体液体の理解が可能になったと言ってよい。またナノクラスターの衝突に関する論文では基盤への吸着の相転移現象と、アルゴンとグラフェンの衝突に伴うグラフェンの変形と発熱を議論した。これらの論文では分子動力学シミュレーションをベースにして弾性論等を用いた理論解析による数値解析の結果の説明を行っている。またジャミング転移に関しては、摩擦のない粉体粒子系のジャミング転移では数多くの現象に対して平均場理論が非常に良く成り立っていることを明らかにした。また外場駆動のナノ粒子では壁との相互作用によってスケーリング領域が2つに分かれることを明らかにした論文と、航空機を用いた微小重力実験によって粉体ガスが満たすべき性質を明らかにした実験の論文等が成果として挙げられる。その他、論文リストには挙げていない印刷中の論文として粉体等の駆動散逸粒子系の定常状態での一般化Green-Kubo公式の成立や揺らぎの定理の成立をきっちりと示した論文や、粉体の弱散逸極限やハードコア極限での粘性率や圧力の発散の性質を明らかにした論文、量子系での一般化Green-Kubo公式を導いた論文等がある。これら数多くの論文から分かる通り順調に成果が出て、論文出版に邁進した一年だったと言える。しかしガラス転移に関する研究は論文発表に至らなかったのは残念だった。
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Research Products
(28 results)