2009 Fiscal Year Annual Research Report
感熱応答性ブロック共重合体の水溶液中におけるミセル形成の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 尚弘 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (10196248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四方 俊幸 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10178858)
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Keywords | 高分子構造・物性 / 自己組織化 / 超分子化学 / ナノ材料 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
ブロック共重合体は,選択溶媒中で様々なミセルを形成する。そのミセルモルフォロジーに関しては,これまでに実験・理論両面からの膨大な量の研究がなされているが,しばしば理論の予想に反し、ミセル溶液の調製条件により異なったモルフォロジーが観測されることがあり,さらに詳細な研究が必要とされるテーマである。ミセル化挙動の熱力学的考察だけでは不十分で,ミセル形成の動力学についても十分な考察が必要となる。本研究では,ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ブロック鎖(PNIPAM)とポリ(N-ビニルピロリドン)(PNVP)ブロック鎖とからなる感熱性ジブロック共重合体(PNIPAM-b-PNVP)の,温度変化にともなうミセル化およびミセルのモルフォロジー変化の機構について考察することを目的とする。 本年度は,水溶液中で共重合体が分子分散している状態から急加熱によって形成されるミセルのモルフォロジーとミセル形成動力学,および星形ミセルが安定な温度から急冷によって引き起こされるベシクルへのモルフォロジー変化の動力学について調べた。急加熱実験では、40~50℃においてサイズの大きいベシクルが形成されるのに対し、PNVPブロック鎖が十分長い場合には、それ以上の温度では球状ミセルが形成された。ミセルの会合数はS字型の曲線に従って成長した。ゆっくりと加熱した場合には、途中の温度で形成されたベシクルが凍結し、60℃でも急加熱で形成された球状ミセルにはならなかった。得られた実験結果に基づき、低分子ミセル系に対して提案されている形状因子に基づいたPNIPAM-b-PNVPのミセルモルフォロジーの温度依存性について考察し、またミセルの成長動力学の理論的な考察を行った。また、急冷による球状ミセルからベシクルへのモルフォロジー変化の実験では、球状ミセルが最初約半分に分裂した後に、非常にゆっくりと時間の1次関数にほぼ従い、会合数が増加した。
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Research Products
(25 results)