2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトな界面における一次および連続濡れ転移の発現機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015021
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
甲賀 研一郎 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10315020)
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Keywords | 濡れ転移 / 液体 / 相転移 / 水 / 界面張力 / 吸着 / 氷 |
Research Abstract |
1. 標準的な濡れ転移のモデルである平均場密度汎関数モデルを用いて,一次転移,二次転移,高次転移がおこる条件を明らかにした。具体的には,2成分流体系における三相共存状態における三つの界面張力の計算から,濡れ転移の次数を見積もり,その次数と成分1と成分2の密度プロファイルの減衰長の比ξ1/ξ2とが関係していることを見出した。この比が1より大きいとき一次,1のとき二次,1より小さいとき高次転移が出現する。さらに数学的に「無限次」転移で特徴付けられる極めて弱い濡れ転移がξ1/ξ2=1近辺で出現することが明らかになった。このモデルと関連する厳密に解けるモデルを用いても,結果の主要な部分を得ることができた。 2. 包接水和物の安定性および水素+水系の相図 水素分子を含む包接水和物は高圧下でのみ安定な固体であるが,第二のゲスト分子としてアセトンを添加するとその解離圧が減少することを分子シミュレーションと統計力学理論に基づいて説明した。高圧における水素と水の2成分系の相図をモンテカルロシミュレーションに基づいて得ることに成功した。特に,氷IIと氷Icに水素分子が溶け込んだ水和物の相とその他の相との相境界を確定した。水素および水の化学ポテンシャルを圧力,温度,モル分率の関数として計算し,実験では得られていない,圧力-モル分率平面における相図を得ることができた。
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