2009 Fiscal Year Annual Research Report
外場が誘起する脂質二重膜の非平衡相分離挙動の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
21015027
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
手老 龍吾 Institute for Molecular Science, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (40390679)
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Keywords | 脂質 / 表面・界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
脂質二重膜内でのドメイン形成や相分離は、シグナル伝達を始めとして多くの重要な細胞膜反応のon/offを制御する重要な要因である。本研究では固体基板上の支持平面脂質二重膜(SPLB)を固体表面物性までを含めた系としてとらえ、固体表面との相互作用や光照射などの外場を積極的に利用することによりSPLB内の膜物性を制御し、非平衡相分離構造の発現とその構造観察・物性計測を行うことを目標としている。研究初年度である平成21年度はスフィンゴミエリン(SM)、フォスファチジルコリン(PC)、コレステロール(chol)の混合SPLBをベシクル融合法でマイカおよびSiO_2表面上に再現性よく作製するための実験条件を確立し、光照射誘起の相分離構造観察を行った。1%の蛍光標識脂質(Rb-DOPE,ex:557nm/em:571nm)を混ぜたSM+PC+chol(1:1:1)-SPLBに通常の蛍光観察時の560倍の強度の光照射を行うと、光照射領域で脂質の光改質による相分離が起こり周囲に伝播する様子を捉えることができた。また、蛍光顕微鏡で得られたSPLB相分離構造の立体構造情報と物性計測を行うために、光学顕微鏡と同程度の観察範囲(100×100μm^2)を持つ原子間力顕微鏡(AFM)スキャナを導入した。広域AFM観察で蛍光顕微鏡と同じ位置を捉えた後にサブミクロンスケールの狙った場所へ高精度でズームするために、クローズドループ回路を備えている。研究後半の平成22年度は蛍光顕微鏡とAFMを用いて多成分脂質膜の相分離前後での構造観察と、AFMフォースカーブ計測による粘弾性マッピングを行い脂質膜のキャラクタリゼーションを行う。
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Research Products
(10 results)