2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒化物セラミックスへのミリ波照射による拡散促進と迅速焼結
Publicly Offered Research
Project Area | Microwave-Excited, High-Temperature Thermally Non-Equilibrium Reaction Fields |
Project/Area Number |
21017005
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 昭 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30211874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀考 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90164954)
和久 公則 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (70403483)
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Keywords | A1N / ミリ波焼結 / HIP / イットリア |
Research Abstract |
近年LSIの高集積化に伴い、高熱伝導性、高絶縁性、高強度な電子基板材料が必要になっている。窒化アルミニウム(A1N)は高い熱伝導率、電気絶縁性・低熱膨張率といった優れた熱特性を持つが、難焼結性材料であり、その生産コストに問題がある。A1Nの低温短時間・焼結のために、我々は、ミリ波焼成を試みてきた。これまで、Y203 5wt.%添加,ミリ波加熱1800℃,2時間保持,3vol.%水素-窒素還元雰囲気の条件で170W/m・Kを超える試料が得られている。しかし、雰囲気や長時間保持など改善すべき課題も残されている。本研究の目的は、ミリ波焼結とHIP焼結を組み合わせて、トータルの処理時間を短縮してこれまでと同等の高い熱伝導率の試料を得ることにある。ミリ波焼結装置を用いた焼結方法により、各A1N-Y203添加試料で1700℃以上で相対密度95%を超える高密度焼結体を得ることができた。次にミリ波焼成によって得られた試料をHIP焼成温度、圧力、時間を変化させて処理した。 ミリ波一次焼結の温度が1700℃、1800℃の場合は、相対密度は飽和に達し、熱伝導率も150W/m・Kを越える高い値を示した。特に1700℃、ミリ波0.5h後、HIP1700℃処理の3wt%Y2O3添加試料では、ミリ波加熱1800℃,2時間保持,3vol.%水素-窒素還元雰囲気で処理したものと同等の熱伝導率を示し、複合焼結法では、温度、時間、雰囲気の全ての点での優位性が示された。また、一次焼結を同一条件の常圧焼結したものと比較すると、ミリ波一次焼結試料の熱伝導率は50%以上高いことがわかり、ミリ波による一次焼結が有効であることがわかった。ミリ波一次焼結1600℃の試料の添加物依存性に着目すると、密度は添加量に従って増加するが、熱伝導率は逆になっていることが興味深い。複合焼結では添加物の最適値が従来焼結、単独焼結とは異なる可能性が示された。
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