2010 Fiscal Year Annual Research Report
大質量星の重力崩壊に伴うブラックホール-ディスク系の形成とガンマ線バースト
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering the Ancient Universe with Gamma-Ray Bursts |
Project/Area Number |
21018008
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
関口 雄一郎 国立天文台, 理論研究部, 研究員 (50531779)
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Keywords | ガンマ線バースト / ブラックホール / 降着円盤 / 重力崩壊 / 数値相対論 / シミュレーション |
Research Abstract |
平成22年度の研究では大質量星の重力崩壊に伴うブラックホール・ディスク系の形成に関して以下の成果をあげた。 (1)重力崩壊の際に重要となる微視的物理過程を包括的に組み入れた数値相対論シミュレーションコードを世界に先駆けて作成した。アインシュタイン方程式、一般相対論的流体力学方程式、ニュートリノ場の運動方程式及びレプトン数の保存則を解き、微視的物理過程として、有限温度の核物質方程式、電子陽電子・ニュートリノ捕獲反応、電子陽電子対消滅反応、プラズモン崩壊、ニュートリノ制動放射を組み込んだ。ブラックホール形成時の高温状態で重要となる、ニュートリノ散乱断面積の非摂動的効果も考慮に入れている。 (2)上記(1)で開発したコードを太陽の15倍の質量を持つ大質量星の重力崩壊に適用し、中性子星が形成される場合に放射される重力波の振幅、ニュートリノ放射の高度を計算した。原始中性子星で起こる対流からの重力波波形、スペクトルを明らかにした。我々の銀河系内で現象が発生すれば、現在稼働中の重力波干渉計で観測可能である。 (3)ガンマ線バーストの親星に関する理論・観測研究を精査し、高エントロピーの中心核の重力崩壊がガンマ線バーストを引き起こすという仮説を立てて研究をすすめた。コアの重力崩壊によるブラックホール形成の一般相対論的数値流体シミュレーションを行い、ブラックホール周りの降着円盤で衝撃波が発生し、降着円盤内で激しい対流運動が励起されることを明らかにした。高エントロピーコアの重力崩壊は、対流運動に伴い質量降着率及びニュートリノ光度は激しい時間変動を示すなど、ガンマ線バーストの観測をよく説明する特徴を持つことを明らかにした。
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