2010 Fiscal Year Annual Research Report
WR星の星風の観測によるGRB周辺環境の研究?
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering the Ancient Universe with Gamma-Ray Bursts |
Project/Area Number |
21018009
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
前田 良知 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (80342624)
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Keywords | Wolf-Rayet / ガンマ線バースト |
Research Abstract |
昨年に引き続き、我々は可視光観測により最も精密に軌道要素が求められているWolf-Rayet星とO型星で構成される連星系WR140/HD193793を観測対象とした、連星間距離が異なる地点で複数回観測することで、Wolf-Rayet星からの距離の異なるプラズマサンプルを取得した。解析の結果、近星点におけるX線吸収量が近星点前に比べ、約30倍増加したことを確認した。一様な球対称な星風モデルとの比較から、この急激なX線吸収量の変化は、Wolf-Rayet星風による自己吸収で説明できた。この吸収量からWolf-Rayet星で合成された元素が、星風によって単位時間当たりどれだけ周辺に放出されているか、定量的に求める事に成功した。 また、光度の減少が近星点付近で急激に進んでいた。等速で質量放出が行われている場合、この事実は説明できない。代わりに、星風が星の表面から、ゆっくりと加速されていることを意味していることを突き止めた。βモデルと言う古典的な加速モデルに適用すると、βが3程度のとてもゆっくりした加速の場合に最もよく観測事実を説明できることがわかった。 上記の星風についての観測事実は当研究ではじめて定量的にわかったことである。WR星はいずれガンマーバーストを起こすかもしれないと予想されている種族の天体であり、その爆風は爆発前に放出された星風と相互作用し、様々な輻射の種になると考えられている。したがって、当研究の結果が、ガンマ線バーストのアフターグローなどの理解を進める一助になると期待できる。
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Research Products
(3 results)