2009 Fiscal Year Annual Research Report
窒化鉄薄膜を用いた高効率スピン源の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
21019002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 匡清 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80250702)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / スピン偏極 / 窒化鉄 / トンネル磁気抵抗効果 / 巨大磁気抵抗効果 |
Research Abstract |
理論研究によれば、Fe_4Nはいわゆるハーフメタルではないが、その電気伝導度のスピン偏極率は-1であり、小数スピンの電子が伝導を担っている。また、Fe_4N/MgO/CoFeBの構造を有する強磁性トンネル接合では、室温で最大-75%のインバースTMR効果が観測されており、Fe_4N中での少数スピン伝導がその起源と考えられている。本研究では、伝導電子のスピン分極が磁気伝導特性に及ぼす効果を調べるために、Fe_4N薄膜のAMR効果について検討を行った。 スパッタ法により、熱酸化膜付Si基板上にMgO(2nm)/Fe(5)/Fe_4N(50)の膜構成でFe_4N薄膜を形成した。MgOおよびFe層は配向制御層である。比較試料として、MgO(2nm)/Fe(55)の膜構成でFe薄膜を形成した。Fe_4NならびにFe薄膜は基板面に平行に(001)配向しており、膜面内での結晶配向はランダム配向であった。全温度範囲でFe薄膜が正のAMR効果を示すのに対して、Fe_4N薄膜では負のAMR効果が観測されることが判った。二流体モデルに基づくCampbellとFertらの理論を拡張してAMR比の定式化を行い解析した結果、AMR比が負になるのは少数スピンによる電気伝導が支配的な場合に限られることが判った。すなわち、実験により得られたFe_4N薄膜の負のAMR効果は、理論予測された少数スピン伝導の証拠であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)