2009 Fiscal Year Annual Research Report
スピンフィルタ効果を示す強磁性絶縁障壁材料の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Creation and control of spin current |
Project/Area Number |
21019005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳原 英人 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (50302386)
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Keywords | スピンフィルタ / 磁気トンネル接合 / スピネルフェライト |
Research Abstract |
室温に於いて高いスピン偏極率を示すスピンフィルタ型トンネル磁気抵抗素子を策せいることを目標とし,当該年度はマグヘマイト(γ-Fe2O3)とマグネシウムフェライト(MgFe2O4)のエピタキシャル薄膜の成長条件について検討した.これまでにγ-Fe2O3薄膜内に生じる欠陥が伝導に寄与し,結果として磁気抵抗効果の低下を招いているとの知見から,膜成長時の基板温度を細かく変えた実験を行い,単膜の電気伝導率の測定から最適な条件を決定した.γ-Fe2O3内の欠陥を評価するために,メスバウアー核である57Feを用いて,γ-Fe2O3薄膜内に局所的にこれを挿入した試料を作製し,メスバウアー分光測定を行った.その結果,γ-Fe2O3膜厚の増加と共にFe3+のみの試料がFe2.5+を含む試料へと変化していることが明らかになった.このFe2.5+の増加がγ-Fe2O3薄膜の電気抵抗の減少の原因であると考えられる.また試行的に作製したマグネシウムフェライト薄膜は,バルクに比して磁化の低下と比較的大きな電気伝導を示したことから,この材料については膜成長条件の最適化を図る必要があることが分かった.
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