2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ構造と吸着分子の間の電子的相互作用の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
21020008
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
二又 政之 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (20344161)
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Keywords | 単一分子感度ラマン / 近接場ラマン / 吸着 / 表面プラズモン |
Research Abstract |
金属-吸着種間の電子的相互作用を局所的に明らかにするために、 1金属-吸着分子間の電子的相互作用解明:表面増強ラマン散乱(SERS)による研究を進め、 単一分子感度ラマン分光の実験では、銀ナノ粒子の表面残留物を置換するために、溶液中に孤立分散した銀ナノ粒子に、ハロゲン化物イオンなどのアニオンを添加する。そのあとで添加したカチオン性色素が、ナノギャップに適切に吸着し、粒子間の局在プラズモンのカップリングにより大きなSERS活性を与える。今回その詳細なメカニズムを解明できた。ハロゲン化物で置換した銀ナノ粒子は負電荷を帯びている。そこにカチオン性色素を添加すると、それらの間の静電的相互作用により、色素がナノギャップに配置し、二つの部分的に性電荷を帯びたアミノ基で、銀ナノ粒子を近接安定化する。このことをアミノ基の脱プロトン化による色素正電荷の消失や、カルボキシル基の酸性でのプロトン脱離抑制などの詳細な研究で初めて明らかにした。このとき、近接安定化が生じると、巨大なSERS活性とともに、色素分子と銀表面との電子的相互作用が活性化することを見いだした。以上のように、巨大SERS活性化での金属-吸着種の電子的相互作用を明らかにするために重要な結果が得られた。 2金属ナノ構造体-分子間の局所的な電子移動相互作用の解明:チップ増強ラマン(TERS)による研究に関して、 1個の金属ナノ粒子と基板間のギャップモードを用いて、1分子感度・ナノメータ空間分解能の実現を目指して、金属ナノ粒子と金属基板の間のギャップモードプラズモンの共鳴条件を局所電場計算で予測し、実験により確認した。p-偏光入射時に金属基板表面に形成したSAM膜のラマン信号が、1個のナノ粒子の添加により10^5以上の大きな増強を受けて、検出可能となった。この結果は、局所電場計算により予測した1個のナノ粒子をプローブとする近接場ラマン分光(空間分解能<10nm,単一分子感度)の実現可能性を示す重要な結果である。
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