2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ構造と吸着分子の間の電子的相互作用の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
21020008
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
二又 政之 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20344161)
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Keywords | 単一分子感度ラマン / 近接場ラマン / 吸着 / 表面プラズモン |
Research Abstract |
金属-吸着種間の電子的相互作用を局所的に明らかにするために、 1金属-吸着分子間の電子的相互作用解明:表面増強ラマン散乱(SERS)による研究を進め、前年度、銀ナノ粒子表面電荷が、色素との排他的な静電的相互作用を与えていることを見いだした。今年度は、化学的に安定で酸化被膜形成の問題がない金ナノ粒子の表面電荷の制御により、化学的相互作用による近接安定化と巨大ラマン散乱の観測を試みた。結果として、組成や化学還元条件により表面電荷を制御した金ナノ粒子を形成することができた。この粒子を用いて、カチオン性色素だけでなく中性化した色素分子の金表面へのアミノ基の配位結合を用いて、金ナノ粒子を近接安定化し、10^8-10^9倍のラマン増強度が得られることを初めて見出した。これにより、溶液中の幅広い化学種と金属ナノ粒子の静電的及び化学的相互作用を用いて、単一分子ラマン検出が可能となった。また、ここで得られた結果は、金属ナノ粒子に吸着した分子の真のSERS増強度の評価と、特に配位結合等を介して化学吸着する場合の電子的相互作用を精密に解析するための基礎となる重要な発見である。 2金属ナノ構造体-分子間の局所的な電子移動相互作用の解明:チップ増強ラマン(TERS)による研究に関して、局所的な電子的相互作用の解析のために、1個の金属ナノ粒子をカンチレバー先端に固定し近接場ラマンプローブとして利用するための、顕微鏡と分光器をつなぐ集光系の効率化を進めた。顕微鏡光学系の改造と、適合する集光光学系の設計・試作により、これまでよりも数10倍高い信号伝達率を得ることができた。1個の金属ナノ粒子をカンチレバー先端に固定する方法について、実験条件の最適化を進めた。
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Research Products
(17 results)