2009 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン励起が金属ナノ構造形成に与える影響の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
21020027
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
辻 剛志 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 助教 (50284568)
|
Keywords | ナノブロック / 表面プラズモン / 形状変化 / エッチング / ハロゲン |
Research Abstract |
金属ナノ構造の様々な性質がその形状に強く依存することから、形状を精密に制御することは、金属ナノ構造の作製において非常に重要である。光照射によって球形の銀ナノ粒子が、ナノプリズムへと形状変化を起こす現象が見出されており、光を利用したナノ構造体形状制御の新たな方法を拓く現象として注目されている。 我々は、ハロゲン化物(NaCl等)水溶液中に分散された銀コロイドにおいて、蛍光灯やキセノンランプの光を照射による、球形からプリズムやロッド等様々な形状の銀ナノ結晶への形状変化を見出している。これまでに、このような反応には銀イオンを生成するハロゲンエッチングが含まれていることを明らかにしているが、光照射の役割は不明である。本課題では、このようなハロゲン溶液中の金属ナノ粒子の形状変化に対する光の役割を明らかにするために、形状や位置が定義された金属ナノブロックを用いて解析を行っている。昨年度の研究で、NaI水溶液中に設置した金ナノ格子が光照射下ではハロゲンエッチングによって形状が変化(縮小)することを見出した。本年度は、この現象に対するプラズモン励起の効果を明確にするために、配向およびギャップ間隔の異なるダイマー構造のナノブロックに光を同時に照射してその形状変化を調べた。実験の結果、長軸が偏光方向に沿った配向のダイマー構造のブロックがより大きくハロゲンエッチングを受けていることが分かった。さらに、このような配向方向による違いは、ギャップ間隔がより小さいダイマー構造でさらに顕著になった。 照射光の偏光方向がダイマー構造の長軸に沿った条件では、ダイマー構造のギャップ間に二つのブロックの電場の重ね合わせによる強い電場(ダイマーモード)が生じる。さらに、ダイマーモードの電場強度はギャップ間隔の減少と共に増加する。これらのことから、プラズモン励起がハロゲンエッチングを促進していることが強く示唆される。
|