2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光分子と表面プラズモンとの強結合
Publicly Offered Research
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
21020037
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 隆之 The Institute of Physical and Chemical Research, 河田ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (40185476)
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Keywords | 表面プラズモン / プラズモニック結晶 / 蛍光エネルギー移動 / 厳密結合波解析法 |
Research Abstract |
金属表面近傍に励起蛍光分子が置かれた場合、その蛍光エネルギーは自由空間への輻射だけではなく表面プラズモンにも移動する。表面プラズモンの寿命は長いため、そのエネルギーは種々の応用に利用可能である。本研究はこのエネルギー移動の割合を金属表面に微細構造を導入することで増強することを目的とする。厳密結合波理論を応用した計算により、金属薄膜の両側界面に1次元に周期的な表面凹凸構造導入したプラズモニック結晶薄膜で、その割合が飛躍的に増強することを見いだした。さらに、溝の深さを大きくすることで、伝搬損失の大きい短距離伝搬型表面プラズモンの存在が禁止されることを発見した。しかしながら、1次元プラズモニック結晶では、格子の溝と垂直方向を中心とする限られた方向に伝搬する表面プラズモンへのみエネルギーの移動効率は増強する。このことにより移動の効率は制限される。それに対して、2次元プラズモニック結晶では面内の全ての方向に伝搬する表面プラズモンへのエネルギー移動効率の増強が期待される。2次元プラズモニック結晶におけるエネルギー移動効率を求めるため、昨年度開発した2次元周期構造に対する厳密結合波解析法をスーパーコンピュータ上で動作するようにした。さらに、それを用いて、円筒形状の凹凸が銀表面上に三角格子状に2次元に並んでいるプラズモニック結晶へ平面波が入射したときの反射率を計算した。この計算からは2次元プラズモニック結晶の分散関係、ならびに、平面波と表面プラズモン間の結合の様子が得られた。計算結果より、両者は形状の凹凸および円筒の直径に強く依存することがわかった。
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