2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光分子と表面プラズモンとの強結合
Publicly Offered Research
Project Area | Strong Photons-Molecules Coupling Fields for Chemical Reactions |
Project/Area Number |
21020037
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 隆之 独立行政法人理化学研究所, 河田ナノフォトニクス研究室, 先任研究員 (40185476)
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Keywords | 表面プラズモン / プラズモニック結晶 / 蛍光エネルギー移動 / 厳密結合波解析 / 有機EL素子 |
Research Abstract |
次世代のディスプレイや照明素子として期待されている有機EL素子では発光材料のすぐ近傍(100nm以内)に金属陰極が存在する。したがって電流注入によって生成された励起子のエネルギーはもちろん自由空間への輻射としても費やされるが、そのかなりの部分は表面プラズモンに散逸する。これは金属表面の表面プラズモンへのエネルギー移動速度が非常に大きいためである。通常の有機EL素子では金属陰極表面は平坦なので表面プラズモンに移動したエネルギーは熱として散逸する。しかしながら、表面プラズモンの寿命は比較的長いので、金属表面に微細構造を設けることにより、再輻射させることができる。我々は微細構造としてプラズモニック結晶と呼ばれる2次元の凹凸構造を金属陰極に導入することで、表面プラズモンを光として取り出すことができ、素子の外部発光量子効率を飛躍的に高めることができることを示した。さらに、プラズモニック結晶の振幅が外部発光量子効率に対してどのような影響を与えるかを実験および計算により求めた。実験では振幅(peak to peak)が40nmのときに最も発光効率の高い素子が得られた。一方、スーパーコンピュータ上で厳密結合波解析を用いてプラズモニック結晶に平面波を入射したときの反射率を計算した。ローレンツの相反則より、反射率が0となる振幅で表面プラズモンの輻射が最大になると考えられる。反射率が0となる振幅は20nmだった。この値は実験で得られた最適値の半分である。この違いは、反射率が0となるのは平面波が金属表面で直接反射された成分と、一旦、表面プラズモンになりそれが再輻射した成分との破壊的干渉のためだと考えることができるからである。
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Research Products
(8 results)