2009 Fiscal Year Annual Research Report
配位環境が誘起する新規フォトクロミックシステムの創出
Publicly Offered Research
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
21021001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 昌子 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (80214401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 厚志 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50437753)
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Keywords | フォトクロミズム / 白金錯体 / 配位環境 / 結合異性 / 銅錯体 / 両座配位子 |
Research Abstract |
本研究では、光により誘起された配位構造の変化が連鎖的もしくは協奏的に集積構造の変化に波及してクロミズム現象として現れる、新しいタイプのフォトクロミックシステムの構築をめざしている。光構造変換を誘起するために、チオシアン酸イオン、一酸化窒素、ジメチルスルホキシド(dmso)等の両座配位子を含む錯体の光誘起結合異性化に注目して系の探索を行った。 2.ジメチルスルホキシド銅(I)錯体のフォトクロミック発光.昨年、dmsoが配位した銅(I)複核錯体、[Cu_2(μ-I)_2(dmso)_2(PPh_3)_2]が光とベイバーにより発光変化を示すことを見出したので、そのメカニズムを追求した。その結果、dmsoの配位形態変化に基づくすみやかな発光色変化(青色→青緑色)と、dmsoの脱離によるゆっくりとした長波長シフト(緑色)が光と熱により起こることが明らかとなった。逆に、dmso雰囲気下で加熱することにより、dmso脱離体は再びdmsoを吸収し、はじめの青色発光を示す錯体に戻った。また、dmso脱離体から高発光の四核錯体を生成することが明らかになったので、複核錯体と四核錯体の問の構造変換についても検討した。 3.チオシアナト白金(II)錯体の光誘起結合異性化によるフォトクロミズムの発現.以前に見出している[Pt(SCN)_2(bpy)]の光誘起結合異性化を基盤に、本研究では白金錯体の集積発光性を生かし、一部の配位子の光結合異性化により協奏的に配列構造変換が起こる系の構築に取り組んだ。この目的のために今回、集積性と柔軟性を併せ持つ長鎖アルキル基を導入した白金錯体[Pt(SCN)_2(dC_<10>bpy)]を新たに合成した。溶液中で光結合異性化を観測するとともに、結晶状態で赤色発光を示すN,S配位錯体と淡黄色のN,S配位錯体の構造解析に成功した。引き続き集積状態でのフォトクロミック挙動について検討していく。
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Research Products
(11 results)