2009 Fiscal Year Annual Research Report
分子間プロトン移動フォトクロミックシステムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
21021003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 桂一郎 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50114426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 潤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (00313172)
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Keywords | プロトン移動 / フォトクロミズム / 互変異性 |
Research Abstract |
励起状態におけるプロトン移動は,非常に高速に進行するが,生成した互変異性が基底状態で容易に元に戻ってしまうので,通常はフォトクロミズムを引き起こすことはないと考えられている.それに対して,私たちは2-ヒドロキシフェナジンとその類縁体が,2-メチルテトラヒドロフラン(MTHF)中77Kにおいて,分子間プロトン移動に起因するフォトクロミズムを示すことを見出している.その光着色反応は,光誘起分子間プロトン移動によるOH形(黄緑色)からNH形(赤色)への互変異性化に由来するものとして理解されている.この反応では,低温で基質および溶媒分子間で水素結合による会合体が形成され,その中でプロトン移動が進行しているものと考えられるので,そのフォトクロミズムは基質と溶媒分子の構造に強く依存する可能性がある、そこで,今年度は2-ヒドロキシフェナジンといくつかのメチル置換体について、77Kにおけるガラス溶液中のフォトクロミズムを調べた.4種類の溶媒の溶液に77Kで紫外光(365nm)を照射すると,いずれもすべての溶液中で赤く着色した.これより,本研究で観測された低温ガラス溶液でのフォトクロミズムは,2-ヒドロキシフェナジン類で広く起こりうる現象であることが示唆された.
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Research Products
(5 results)