2009 Fiscal Year Annual Research Report
複合錯体を利用したフォトクロミック結晶の構造変化の解明
Publicly Offered Research
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
21021007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関根 あき子 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 助教 (40226650)
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Keywords | サリチリデンアニリン / 結晶相反応 / X線結晶構造解析 / フォトクロミズム / 酸塩基複合体 |
Research Abstract |
単体ではフォトクロミズムを起こさないサリチリデンアニリン誘導体のフォトクロミズムを起こさせることを目的として、単体でフォトクロミズムを起こさないカルボキシル基を持つサリチリデンアニリン誘導体と塩基化合物の酸塩基複合体を形成させ、サリチリデンアニリン分子の構造変化を引き起こすことにより、フォトクロミズムの発現を試みた。用いたのはフォトクロミズムを示さないカルボキシル基を持つサリチリデンアニリン誘導体2種(1,2)と2級アミンの塩基化合物2種(a,b)である。実験の結果、計3種類の酸塩基複合体を得ることに成功した。それぞれの結晶についてのX線構造解析の結果から紫光に対する反応性と着色体寿命との相関を検討した。単体でのサリチリデンアニリン分子は結晶構造中での平面な分子構造をとり、その二面角は5.03(20)°であったのに対し、酸塩基複錯体1a中でのサリチリデンアニリン分子の二面角は40.25(9)°となり、大きくねじれた構造に変化していた。さらに他の2つの酸塩基複合錯体についても同様で、単体のサリチリデンアニリン分子2の二面角が26.72(6)°に対して、2a中のサリチリデンアニリン分子の二面角は49.47(10)°、2bでは47.71(10)°、40.45(13)°とよりねじれた構造に変化していた。これらの複合錯体結晶では全てフォトクロミズムを示し、SA誘導体分子がねじれた構造に変化することによってフォトクミズムが発現することを明らかにした。さらに、同一のサリチリデンアニリン誘導体分子2を含んでいる複合錯体結晶の2aは短寿命、2bはそれよりも長寿命であり、着色体の寿命が異なっていた。これらについてtrans-keto体モデルの構造を調べたところ、寿命の短い2a-は分子間相互作用を持たず、寿命の長い2bは弱い分子間水素結合が生じ、2bの着色体の寿命はこの分子間水素結合に依って長くなっていることが考えられる。
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Research Products
(1 results)