2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック分子単結晶表面における光誘起物質移動
Publicly Offered Research
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
21021014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 英之 Osaka University, 工学研究科, 講師 (00222167)
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Keywords | 光誘起物質移動 / 表面レリーフ回折格子形成 / 単結晶 / アゾベンゼン誘導体 / フォトクロミズム / 干渉露光 / フォトメカニカル効果 |
Research Abstract |
アゾベンゼン系アモルファス材料を用いる光誘起表面レリーフ回折格子(SRG)形成が注目を集めている。これに対し、申請者はごく最近、4-(ジメチルアミノ)アゾベンゼンの単結晶や4-[ビス(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)アミノ]アゾベンゼン(BFlAB)の酢酸エチルとの共結晶の表面にも光誘起SRG形成が可能であることを明らかにしている。本研究は、さまざまなフォトクロミック化合物について、その単結晶を育成し、それらを用いる光誘起SRG形成を検討して、単結晶を用いる光誘起SRG形成の一般的な特徴を明らかにするとともに、SRG形成機構を解明することを目的としている。 本年度は、4-[ビス(9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)アミノ]-4'-シアノアゾベンゼン(CN-BFlAB)の単結晶を用いる光誘起SRG形成を検討した。CN-BFlAB単結晶の表面にもレーザー光の干渉露光によってSRGを形成させることができることを示すとともに、SRG形成の書込み光偏光依存性が、CN-BFlABのアモルファス膜における光誘起SRG形成の場合と酷似していることを明らかにした。さらに、この結晶の表面にレーザー光を照射した場合の表面付近のモルフォロジー変化を摩擦力顕微鏡により調べ、この単結晶に光を照射することにより、照射面にアモルファス層が形成されることを示唆する結果を得た。 また、光誘起SRG形成とは別に、BFlABを用いてアモルファス分子ファイバーを作製し、そのフォトメカニカル効果を検討した。その結果、このファイバーが光照射に伴って屈曲すること、その屈曲方向が、照射する光の偏光方向によって制御できることを明らかにし、このことがファイバー上で誘起される物質移動の効果に基づくことを示唆する結果を得た。
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