2009 Fiscal Year Annual Research Report
イミダゾリウム基を含むフォトクロミック分子の開発と応用
Publicly Offered Research
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
21021017
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中嶋 琢也 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (70379543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (40221197)
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Keywords | 光化学 / 光物性 / 有機工業化学 / イオン / フォトクロミズム / スイッチング / 有機合成化学 / 薄膜 |
Research Abstract |
イオンの大きさ(半径)はその硬さを決定し、ルイス酸・塩基性、基本的には静電相互作用の度合い、さらには、求核・求電子反応性を支配する物質において非常にベーシックなパラメーターである。申請者は、正電荷が5員環に渡って非局在化した特異なカチオン構造を有するイミダゾリウム基が芳香族であることに着目し、ジアリールエテンやジアリールアリーレン(ターアリーレン)のアリールユニットとして導入した。イミダゾリウム置換型フォトクロミック分子は、フォトクロミック反応によりイミダゾリウム環まわりの電子構造(電荷の局在構造)を劇的に変化させ、イオン半径の可逆的な制御が期待される。本研究では、これまでにないイオン半径の光制御を実現したイミダゾリウム置換フォトクロミック反応系の応用を行う。本年度は、4,5-ジチアゾリルイミダゾリウムを合成し、そのフォトクロミック反応に伴うイオン会合状態の制御を行った。一連の4,5-ジチアゾリルイミダゾリウムはN位の置換基に応じたガラス転移温度を示し、最も低いもので45℃まで低下させることができた。さらに、光閉環体のガラス転移温度は、61℃と大きく上昇し、光反応に伴うイミダゾリウム環内における正電荷の局在により、イオン間相互作用が増強し、ガラス転移点の上昇に寄与したものと考察される。
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