2010 Fiscal Year Annual Research Report
黄色に光発色するフォトクロミック分子の開発と光および熱安定性の制御
Publicly Offered Research
Project Area | New Horizons of Photochromism: Customized Molecular Design and Novel Applications |
Project/Area Number |
21021030
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
高見 静香 新居浜工業高等専門学校, 環境材料工学科, 助教 (70398098)
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Keywords | フォトクロミズム / 光開環反応量子収率 / フルカラー表示材料 |
Research Abstract |
1-アリール-2-ビニルシクロペンテン誘導体はジアリールエテン誘導体と分子骨格が類似しており、適切な分子修飾を行うことでそのフォトクロミック反応性および熱安定性の制御が可能と考えられる。本研究では、新たな黄色に発色するフォトクロミック化合物を開発するために、これら種々の誘導体の合成を行い、溶液およびや固体状態でのフォトクロミック挙動の検討を目的に、光安定性を持つフォトクロミック分子の提示を目指した。ビニル部位にフェニル基を導入した誘導体1aおよび2aを数段階で合成しそのフォトクロミック挙動を検討した。1aおよび2aのトルエン溶液に紫外光313nmを照射すると無色から黄色に着色し、極大吸収波長はそれぞれ424nmと419nmであった。また、いずれの誘導体も紫外、可視光照射により可逆なフォトクロミズムを示し、1aおよび2aの光転換率はそれぞれ95%と83%であった。また、黄色に発色するフォトクロミック誘導体のなかでも大きなモル吸光係数(17100と16900M^<-1>cm^<-1>)を示すことがわかった。さらに、化合物1bと2bの光開環反応量子収率はいずれも10^<-3>オーダであり、室内光では容易に光退色しにくいことがわかった。光着色体は熱的に安定であり、80℃において100時間後も変化は認められなかった。本実施期間では、アリール部位にオキサゾリル基を導入した誘導体を合成したが、可逆なフォトクロミック反応は確認されなかった。しかし、(1)適切な分子修飾を行うと可逆なフォトクロミズムが起こることを見出し、(2)ビニル部位に導入する置換基がフォトクロミック挙動に影響を与えることがわかった。また、(3)着色体は熱的に安定であることがわかった。
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