2010 Fiscal Year Annual Research Report
バンコマイシン耐性腸球菌VREの新たな高頻度接合伝達性プラスミドの研究
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022008
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
富田 治芳 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (70282390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池 康嘉 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60125820)
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Keywords | 腸球菌 / バンコマイシン耐性 / VRE / 伝達性プラスミド / 病原性 / 多剤耐性菌 / 院内感染症 / 日和見感染 |
Research Abstract |
バンコマイシン耐性腸球菌VREから分離したpMG1型高頻度接合伝達性プラスミドpHTβの高頻度伝達機構と接合凝集性についての遺伝学的解析を行った。これまでの解析によって決定したpHTβの凝集遺伝子群の最上流に存在するORF9のin-frame欠失変異体を作製分離した。ORF9変異体は凝集性と同時に伝達能も完全に失い、ORF9自身の転写活性もほぼ消失していた。この変異はORF9のクローンによって相補されたことから、ORF9は接合伝達と凝集を正に調節する遺伝子であることが明らかとなり新たにtraDと命名した。 これまでのpHTβを用いた遺伝学的解析からpMG1型プラスミドの高頻度接合伝達機構には負の調節因子が存在することが推測されていた。その未知の因子の同定を、凝集遺伝子内へTn917-lacが挿入され転写活性がLacZの発現により測定可能で、かつtraBに変異を持つことにより転写活性の消失した二重変異プラスミドを用い行った。これを保持する株を供与菌とし固形培地上での接合伝達実験を行い、得られた接合伝達株のLacZ発現を調べる方法により、凝集遺伝子領域の転写活性が復帰した変異体を複数個分離した。得られた復帰変異プラスミドは全てORF2内に変異が存在した。ORF2のin-frame欠失変異を作製分離し解析を行ったところ、ORF2変異体は親株に比べ凝集性が強まり、伝達頻度も上昇していた。またTraDの転写活性も増強していた。これらはORF2のクローンのよって相補されたことから、ORF2は接合伝達を負に調節していることが示され、新たにtraFと命名した。 同定した2つの調節遺伝子は共にこれまで報告されている遺伝子との相同性は認めず、pMG1型プラスミドの高頻度接合伝達機構は他の遺伝子発現調節機構とは全く異なる特異的なものであることが示された。
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