2009 Fiscal Year Annual Research Report
サルモネラ食細胞内寄生と宿主免疫応答の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022010
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山本 友子 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 教授 (60110342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高屋 明子 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (80334217)
佐藤 慶治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (00554586)
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Keywords | サルモネラ / 自然免疫 / エフェクター / マクロファージ |
Research Abstract |
細胞内寄生性を有するサルモネラは、感染初期ではマクロファージに細胞死を誘発して感染を拡大し、中盤以降ではマクロファージの殺菌機構を回避し、食細胞内で増殖して全身感染を成立させる。病原戦略の中心となる分子は、感染のある局面では宿主の免疫応答の引き金ともなることから、サルモネラの全身感染機構を解明するためには、細胞内寄生性とともに感染宿主免疫応答を理解することが不可欠である。申請者らは病原性発現と宿主応答研究の過程で、サルモネラ感染によりマクロファージのCaspase-8が活性化されることを見出した。本年度はCaspase-8活性化に関与するサルモネラのエフェクターの同定を行った。エフェクターはSalmonella Pathogenicity Island 1(SPI1)遺伝子発現の転写活性化因子HilAの制御を受けると予測されたことから、HilAに活性化される遺伝子のゲノムワードスクリーニングをDNA arrayにより行った。得られたHilA制御下の遺伝子について、さらにCaspase-8活性化との関連を詳細に検討し、目的とするエフェクターGogAを同定した。 GogAはSPI1並びにSPI2にコードされる2つのType III secretion systemにより宿主細胞へ輸送されることが明らかとなった。SPI1とSPI2の選択は感染の時期に依存すると考えられた。GogAはサルモネラ特有の蛋白であった。GogAはマクロファージ内Caspase-8活性化能を有することを明らかにした。又、GogAの過剰発現によりマクロファージはアポトーシスに陥った。この事実は野生型サルモネラ感染ではCaspase-8が活性化され炎症反応が誘導されるが、HilA過剰産生サルモネラ感染では、過剰のCaspase-8活性化とそれに続くCaspas-9,Capsase-3の活性化によりアポトーシスが誘発される現象と一致するものであり、GogAがCaspase-8活性化を引き起こすエフェクター本体である可能性とを強く支持する結果である。
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