2010 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスプロテインキナーゼによる宿主細胞制御とそれに基づくウイルス増殖機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 寧 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (60292984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上間 匡 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (70456193)
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Keywords | ヘルペスウイル / PK / Us3 |
Research Abstract |
「研究の目的」本研究では、医学上重要な単純ヘルペスウイルス(HSV)およびEBウイルス(EBV)がコードするウイルスPKの新規基質を同定し、そのリン酸化の意義を解析することにより、ウイルスPKによるウイルス増殖制御機構および病原性発現機構を明らかにすることを目的としている。 「本年度の成果と考察」HSV-1 Us3 PKの新規基質として、ウイルス粒子中に最も多く含まれているウイルス因子であるUL47を同定した。UL47はHIV Rev等と同様、核と細胞質を行き来する'shuttling protein'である。リン酸化部位を決定し、UL47におけるUs3リン酸化部位の種々のアミノ酸置換変異ウイルスを用いて解析したところ、Us3によるUL47のリン酸化によって、感染細胞におけるUL47の核移行が促進されることが明らかになった。また、UL47におけるUs3リン酸化部位のアラニン置換変異ウイルスは、マウス角膜炎モデルにおいて弱毒化していた。興味深いことに、免疫沈降においてUL47はUs3と共沈降することから、Us3とUL47が感染細胞内において安定な複合体を形成することが明らかになった。UL47ノックアウトウイルスを用いた解析から、UL47はUs3と相互作用することによってUs3の核移行を促進していることが明らかになった。また、UL47ノックアウトウイルスは野生体と比して、培養細胞での増殖、マウス角膜炎モデルでのウイルス増殖・病態が有意に低下していた。 Us3とUL47は感染細胞において、互いの細胞内局在を制御しあうというユニークなPK-基質ペアであり、これらの相互作用はHSVの病態発現に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)