2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニパウイルスの病原性発現機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲斐 知恵子 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10167330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 美佐子 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (40361620)
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Keywords | ニパウイルス / ヘニパウイルス / パラミクソウイルス / 新興再興感染症 / 病原性 |
Research Abstract |
ニパウイルスは致死率の高い新興感染症で、オオコウモリからブタを介してヒトに伝播した。様々な動物種に感染することが知られているが、病原性には相違が認められる。この動物実験モデルとして我々はハムスターで致死性となる優れた実験モデル系を持っている。しかしながら、ヒト固有の病原性の特徴を解析する基礎的研究やワクチンや治療薬の開発研究のためには、非ヒト霊長類の感染モデル動物系を確立することが重要である。既に小型霊長類では感受性が良くないことがわかったため、旧世界ザルを用いて感受性試験を行った。サルの輸入が当該機関の都合により著しく延期されたため、本実験部分は繰り越し申請を行って、時期を変更して行った。サルの輸入検疫後状態が安定するのを待って感染実験を行った。ニパウイルスをアフリカミドリザルに様々な経路から感染させ、その後の臨床症状を観察した。その結果、腹腔内に接種した場合には食欲不振の後激しい体重減少を起こして死亡すること、経鼻および口腔内接種でも著しい体重減少を起こして瀕死状態にまで至ることがわかった。瀕死状態後死亡しない場合の経過を観察したところ、次第に回復することがわかった。死亡個体において剖検を行い、各種臓器でのウイルス増殖様式を検索し、また病理組織学的解析を行ったところ、ヒトの感染症と同様の病態を示すことが明らかとなった。この結果からサルを用いた感染動物モデルとして有用であると考えられた。
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