2009 Fiscal Year Annual Research Report
ボツリヌスHAの細胞間バリア破壊作用の分子機構と病態における意義について
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤永 由佳子 Osaka University, 微生物病研究所, 特任准教授 (60252954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北所 健悟 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究所, 准教授 (60283587)
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Keywords | 微生物 / 細菌 / 生理活性 / 上皮細胞 / バリア |
Research Abstract |
ボツリヌス食中毒の発症には神経毒素が消化管から吸収され、血中に移行し末梢神経に到達することが必要である。巨大分子である神経毒素が体内に侵入する際の重要な関門は消化管粘膜バリアであるが、毒素がこのバリアを通過する機構は不明であった。我々は最近、無毒成分中のHAが強力な細胞間バリア破壊作用を持つことを発見した。HAの本作用の分子機構を明らかにするため、本年度は、HAの活性に必要なドメインの解析とHAが認識する基質分子の探索を行った。 [細胞間バリア破壊活性を担うHA側のドメインの同定] 我々はHAを構成する3つのサブユニットをリコンビナント蛋白質として発現させ、それぞれ単独では細胞間バリア破壊活性を示さないが、3つを再構成することによりnative HAとほぼ同等の比活性を再現することに成功している。そこでこの系を用い、B型HA中の細胞結合能を持つサブユニットであるHA1とHA3に各種変異を導入した。さらに変異を導入したサブユニットと野性型サブユニットよりHAを再構成し、ゲル濾過により再構成の効率および各サブユニットの構成比が野生型と同じであることを確認した。再構成が確認された変異型HAを、transwellに培養したヒト腸管上皮細胞(Caco-2)のbasolateralからに添加し、細胞間電気抵抗値(TER)測定を行うことによりバリア破壊活性を消失した変異型HAを検索した。その結果各HA単独では活性を示さないが、HA3+HA2で複合体が形成され、この複合体がTER低下活性を示すことが明らかになった。再構成変異体の活性についても解析を行っている。 [HAが認識する基質分子の探索・同定] 再構成HA(HA1+HA2+HA3)およびHA2+HA3複合体で結合する細胞側基質分子を、pull down法により探索した。その結果、再現性よく検出される分子が得られた。現在、質量分析などにより同定を行っている。
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Research Products
(11 results)