2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトヘルペスウイルス膜タンパク質の機能解析によるウイルス感染機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022031
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 康子 Kobe University, 医学研究科, 教授 (50343257)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 微生物 |
Research Abstract |
ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)は、T細胞向性のウイルスであり、塩基配列、細胞向性の違いによりふたつのバリアント(HHV-6AおよびHHV-6B)に分けられる。前回までに、我々は、HHV-6Aウイルス粒子エンベロープを構成するコレステロールが、ウイルスの宿主細胞への侵入過程、特に膜融合過程に重要であることを見いだした。また、細胞膜上の脂質ラフトがウイルスの細胞への侵入に必須であることを見いだした。そこで、今回、我々は、宿主細胞内でのウイルス粒子成熟過程、つまり粒子出芽における脂質ラフトの役割を解析した。HHV-6感染細胞における脂質ラフトの役割を検討するため、膜分画法を用いた実験を行った。HHV-6A(GS株)をT細胞株であるHSB-2細胞に感染させ、3~4日後に感染細胞を回収した。HHV-6A感染HSB-2細胞からラフト分画を回収し、ウェスタンブロットを行った。その結果、ラフトマーカーであるGM1が多く検出された分画において、HHV-6のエンベロープに存在する糖タンパクであるglycoprotein H, L, Q1, Q2, 0, B(gH, gL, gQ1, gQ2, g0, gB)も多く検出された。特に、gQ1およびgQ2は、感染細胞にのみ発現し成熟ウイルス粒子には含まれない形態である、gQ1-74KおよびgQ2-34Kはラフト分画への集積は認められなかったが、成熟ウイルス粒子に含まれるgQ1-80KおよびgQ1-37Kが、ラフト分画に顕著に検出された。逆に、ウイルス粒子には含まれない非構造タンパクであるImmediate early 1(IE1)は、ラフト分画への集積は認められなかった。以上より、HHV-6は粒子形成の場として脂質ラフトを利用していることが示唆された。
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Research Products
(9 results)