2009 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫人工染色体を用いたvar遺伝子の相互排他的転写制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022032
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岩永 史朗 Mie University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (20314510)
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Keywords | マラリア原虫 / 人工染色体 / テロメア / 相互排他的転写制御 |
Research Abstract |
熱帯熱マラリア原虫の免疫回避に関わる中心分子は感染赤血球表面抗原であるvar遺伝子産物である。原虫は59個のvar遺伝子を持ち、1個のvar遺伝子が転写されると排他的に残り58個の転写を全て抑制する(相互排他的転写制御)。これにより、原虫は宿主免疫による攻撃を受けると、var遺伝子の転写を抗原性が異なる別のvar遺伝子へ切り替え、免疫を回避している。本研究では独自に作製したマラリア原虫人工染色体を用い、相互排他的転写制御を実験モデル化し、その解明の糸口を得ることを試みた。まず、ネズミマラリア原虫でvar遺伝子と同様の制御を受けていると考えられるbir遺伝子に着目し、その転写制御が実際に相互排他的であるかDNAマイクロアレイによって確認した。その結果、bir遺伝子もvar遺伝子同様に各クローンごとに転写されるbir遺伝子の種類が異なる可能性を示唆することが示された。続いて、遺伝子転写抑制にクロマチン構造が関与することを推定し、ヒストンH3の第9番目のLys残基のトリメチル化を指標にChIP-seq解析を行った結果、bir遺伝子が存在するサブテロメリック領域が特異的に上記修飾を受けていることが明らかとなった。上記結果を受け、現在人工染色体を用いた解析を進めている。」
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