2010 Fiscal Year Annual Research Report
マラリアにおける免疫回避に関わる宿主寄生体相互作用の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022036
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
久枝 一 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50243689)
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Keywords | マラリア / 防御免疫 / CD8T細胞 |
Research Abstract |
マラリアに対する防御免疫を詳細に解析することは有効なワクチン開発に重要である。本報告ではマウスモデルを用いてCD8T細胞の赤血球ステージマラリアに対する防御的役割を詳細に検討した。マウスのマラリア原虫Plasmodium yoeliiには致死感染を起こす強毒株と一過性感染を起こす弱毒株が存在する。弱毒株感染を治癒したマウスは強毒株に対しても抵抗性を獲得するように弱毒生ワクチンとして機能する。弱毒ワクチンマウスからCD8T細胞を採取し、レシピエントに移入後強毒株に対する防御応答を解析した。 その結果、弱毒生ワクチンだけでは不十分であったが、強毒株の追加ワクチンを行なうことによりCD8T細胞が防御的に働くことが明らかとなった。追加免疫マウスのCD8T細胞ではCD44^<hi>CD62L^<lo>のいわゆるエフェクターメモリー細胞が増加していた。次いで、CD8T細胞の防御メカニズムを知るためにIFN-γノックアウトマウス(GKO)、細胞傷害活性に必須であるperforinを欠損するマウス(PKO)に弱毒ワクチン、強毒追加免疫を行なった。GKO由来のCD8T細胞の移入群では抵抗性が認められなかった。PKOのCD8T細胞移入群では対照群に比べ、原虫の著しい増加が認められたが最終的にはほとんどのマウスが生き残った。また、CD8T細胞の防御的役割にはマクロファージが必須であることも明らかとなった。これらの結果は、CD8T細胞の防御機能としては、IFN-γを分泌しマクロファージを活性化させ感染赤血球を取り込ませることがメインストリームであると思わせる。予想外に、細胞傷害に関わるperforinも部分的にではあるが関与していることも示唆された。以上のように、CD8T細胞の赤血球ステージのマラリアに対する防御的役割を解明できた。
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