2009 Fiscal Year Annual Research Report
潜在性結核対策を想定した、抗酸菌の長期生存を可能にする分子メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022043
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 壮吉 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (30244073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 満美子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20438229)
岡 真優子 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (40347498)
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Keywords | 結核 / 抗酸菌 / 休眠 / 潜在感染 / ゲノム |
Research Abstract |
抗酸菌感染症は現在も甚大な健康被害を招来している。特に結核は年間200万人が死亡する最大級の細菌感染症である。結核菌は、人類の1/3に増殖や代謝を停止した休眠状態で潜伏感染しており、感染者の10%において再燃が生じ病気が発症する。結核菌はヒト以外の宿主や自然環境下で生息できないため、潜伏感染菌の殺傷は病気の制圧に繋がるが、現在まで休眠機構は不明で潜伏感染菌を殺傷することができない。発症時においても菌は一定の割合で休眠するため、結核治療は最短で6ヶ月を要する。休眠菌を殺傷できれば理論的に2週間で治療を完結できる。このような状況から抗酸菌の休眠機構を解明し対策を構築することは急務の課題であり本研究の目的である。 本研究では、速育型や遅発育型抗酸菌を利用し、休眠期に制御される抗酸菌分子で休眠菌の長期生存を担う分子を同定し、各分子の機能を解析することで、休眠抗酸菌の生存維持のメカニズム解明に迫る。平成21年度には、休眠菌の発現する遺伝子群の同定を試みた。Mycobacterium smegmatisの野生株の増殖期および休眠期における遺伝子発現をDNAマイクロアレイ法により解析した。またこれまでの研究で抗酸菌に広く存在するヒストン様蛋白質Mycobacterial DNA-binding protein 1(MDP1)が、結核菌の生存やM.smegmatisにおいて休眠菌の生存に重要な役割を果たすことが判明している。MDP1を欠失させたM.smegmatisも同様に休眠させ、MDP1依存的な遺伝子発現調節を同様に観察した。 その結果、休眠期M.smegmatis遺伝子のうち1200あまりは休眠期で発現が減少するが、逆に900あまりの遺伝子は増加することが判明した。また、MDP1の欠失で休眠期に減少する遺伝子が700あまり、逆に増加するものが500あまり観察された。以上の結果から、M.smegmatis休眠菌は遺伝子の発現を継続していること、またMDP1が休眠期に発現する遺伝子の多くを制御している.ことが明らかとなった。
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Research Products
(14 results)