2009 Fiscal Year Annual Research Report
無細胞合成システムを用いたウイルスタンパク質の翻訳後修飾に関わる宿主因子の同定
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022052
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
山本 直樹 National Institute of Infectious Diseases, エイズ研究センター, センター長 (00094053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梁 明秀 横浜市立大学, 医学部・微生物学, 教授 (20363814)
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Keywords | 遺伝子 / ウイルス / 感染症 / 酵素 / 蛋白質 |
Research Abstract |
エイズの病原ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス(HIV)のこれまでの感染者数は世界中で6千万人を越えており、毎年ほぼ5百万人が新たに感染している。エイズの治療は大きな成功を収めているが、実際の抗エイズ薬はHIVタンパク質を標的にしたものが主流である。現在のHIV/AIDS患者の治療で大きな問題となっているのは薬剤耐性ウイルスの出現であるが、易変異性のHIVをターゲットにする限り,この問題は残る。その点変異しにくい宿主側因子を標的にすることでその克服が期待される。最近我々はHIV感染細胞において成熟HIV粒子の形成を負に制御する細胞側因子としてBCA2を新たに同定した。BCA2はBST-2/Tetherinにより細胞膜上で繋留されたHIV粒子の細胞内への取り込みと分解を促進する因子であり、(PLoS Pathog.2009 Dec;5(12):e1000700.)。また、Atypical protein kinase C (aPKC)がGag p6のSer473をリン酸化し、Vprのウイルス粒子内への取り込みと粒子の感染性維持に重要な役割を果たすことを示した(梁,山本,投稿準備中)。また、インターフェロンガンマによる抗HIV作用のメディエータとして新たにDAPK3を同定した。DAPK3はインターフェロンガンマにより誘導され、NF-kappaBの活性化を阻害することで、HIV遺伝子の転写を強力に抑制する。本研究課題では,我々が独自に開発したきわめて効率のよいコムギ胚芽無細胞蛋白質生産システムと無細胞アルファスクリーンアッセイ系を活用し、上記の宿主因子に対する阻害剤の探索も合わせて行っている。同時にこの系を用いて新たな候補蛋白の同定も遂行中である。さらにヒト造血幹細胞た多能性幹細胞を用いた感染モデル系を作製中であり、阻害剤の抗ウイルス作用や生体への安全性、薬剤耐性の出現等について検討を行っており、最終ゴールとして新規エイズ薬の開発を目指す。
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Research Products
(18 results)