2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスゲノムの複製転写調節機構と宿主細胞機能の利用
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022055
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
鶴見 達也 Aichi Cancer Center Research Institute, 腫瘍ウイルス学部, 部長 (90172072)
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Keywords | EBウイルス / p53 / E3リガーゼ / リン酸化 |
Research Abstract |
Epstein-Barr virus (EBV) BMRF1蛋白質は溶解感染細胞中で大量に発現し、溶解感染時のウイルスゲノム合成に必須の蛋白質である。ポリメラーゼ付随蛋白質としてウイルスDNAポリメラーゼのDNA合成伸長反応の促進を担っているほか、dsDNA結合活性を持ち、複製されたウイルスゲノムを保護していると考えられている。我々は理化学研究所と東北大学工学部と共同でBMRF1蛋白質(1-314aa)の結晶解析を行い、BMRF1蛋白質は水溶液中では主に2量体(tail-to-tail C-クランプ構造)を、一部が4量体(リング構造)をとり、その内側は正電荷を帯びていることがわかった。又、構造解析から推測した内側の電荷を変えた点変異蛋白質(K29E,K99E,R256E,R87E,K19E)と2量体形成を阻害した点変異蛋白質(C95E)、BALF5蛋白質結合部位の点変異蛋白質(H141F)を用いて、dsDNA結合能とポリメラーゼprocessivity能を調べ、内側が正電荷を帯びた2量体でdsDNAと結合していること、ポリメラーゼprocessivity能には単量体で活性を持ち、必ずしもDNA結合能を必要としないことを明らかにした。我々はBMRF1蛋白質の新たな機能として一本鎖DNA結合蛋白質をコードするBALF2遺伝子の転写を促進することを見いだし,その分子機構を解析した。BALF2蛋白質はBZLF1及びBRLF1転写因子によって発現が誘導され、溶解感染初期に大量に発現する。我々はBALF2遺伝子上流域(-358 to +10)をルシフェラーゼ発現プラスミド(pGL4.10)に組み込んだレポータージーンを作成した。BMRF1蛋白質はBZLF1蛋白質の存在下で、BALF2プロモーターの転写を促進した。ルシフェラーゼアッセイ及びEMSAによって2つのBZLF1認識部位(ZREs)が存在する事を明らかにした(-133 to -114,-80 to-57)。また、BZLF1蛋白質がZREsに結合することでBALF2遺伝子の発現が誘導されること、BMRF1蛋白質はBZLF1蛋白質を介してさらに発現を促進していることが示唆された。また、2量体形成を阻害した点変異蛋白質(C95E)はBALF2転写促進能もBZLF1蛋白質結合能も保持していた。以上の結果から、単量体BMRF1蛋白質はポリメラーゼ付随蛋白質として機能しているだけでなく、BZLF1転写因子のコファクターとしてBALF2蛋白質の発現を促進していることが示唆された。
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Research Products
(6 results)