2009 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザ感染による肺炎レンサ球菌の組織侵入増強に関わる分子群同定とその機能
Publicly Offered Research
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
21022056
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
岡本 成史 National Institute of Biomedical Innovation, 独立行政法人医薬基盤研究所・創薬基盤研究部・感染制御プロジェクト, プロジェクトリーダー (50311759)
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Keywords | 肺炎レンサ球菌 / インフルエンザウイルス / 混合感染 / 付着 |
Research Abstract |
肺炎レンサ球菌(Streptococcus pneumoniae)は、細菌性肺炎および敗血症発症の最大の起炎菌であり、それに加えて乳幼児では急性中耳炎、髄膜炎、播種性血管内凝固(DIC)などを惹起させる。また、インフルエンザ発症に伴う細菌性肺炎の発症に大きく関わっており、インフルエンザの主な死因にもなっている。しかし混合感染による感染症憎悪に関与する分子生物学的メカニズムはよくわかっていない。我々はこれまでインフルエンザウイルスとA群レンサ球菌(GAS)との混合感染によるマウスモデルによる劇症型A群レンサ球菌感染症の発症のメカニズムについて研究を行い、GASがウイルス感染肺胞上皮組織に局在して付着すること、そしてこの現象が混合感染による劇症感染症発症の一因であることを明らかにした。一方、肺炎レンサ球菌におけるインフルエンザ感染による宿主組織への付着・侵入の増強に関与する分子群、およびその分子生物学的メカニズムについては明らかにされていないことから、本研究では、マウスモデルによるインフルエンザウイルス-肺炎レンサ球菌の混合感染による致死的感染症の発症モデルの作成を試みた。 BALB/cマウス(メス、6-12週齢)に麻酔下で非致死量のインフルエンザウイルスA/FM/1/47株(H1N1)および非致死量のS. pneumoniaeD39株(serotype2)をそれぞれ経鼻感染し、感染後のマウスの生存率を検討した。インフルエンザウイルスのみないし、S.pneumoniae単独感染のマウスでは全例生存した。また、S.pneumoniaeを先に感染し、1日以上後にインフルエンザウイルスを感染させた場合もマウスはすべて生存したが、インフルエンザウイルスとS.pneumoniaeを同時に感染させた場合では40%、インフルエンザウイルス感染後2-7日後にS.pneumoniaeを感染させた場合では80%以上ものマウスが死亡した。また、in vitroの実験系において、インフルエンザ感染により、肺炎レンサ球菌の細胞への付着が増強することを見出した。
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Research Products
(1 results)