2009 Fiscal Year Annual Research Report
隠れた自由度を持つタンパク質一分子のパラメータ推定法
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
21023007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 崇広 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (80432152)
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Keywords | 一分子計測 / パラメータ推定 / ベイズ推定 / 分子モーター |
Research Abstract |
生体分子の一分子計測技術は、新しい顕微鏡技術や新規プローブの開発等、近年目覚ましい進展を収めており、生体分子の機能を明らかにする基盤的技術となりつつある。しかし最新の技術を駆使しても、未だ我々の観測できる自由度は系の持つすべての自由度のうちの僅かである。従って、生体分子の詳細を明らかにするためには、限られた自由度の測定データから直接観測することの出来ない自由度の動きや分子の物性値を推定するという逆問題に直面する。我々はこの問題に対してベイズ推定の枠組みで取り組み、隠れた自由度を持つ微小系に対するパラメータ推定の一般的な枠組みを確立した。我々の構築した推定法を用いると、観測時間が無限長という理想的な条件では正しい推定値が得られ、観測時間が有限な場合は、推定誤差が観測時間に反比例して減少することが一般的に示せた。簡単なモデルで数値実験を行い、我々の提案した手法が標準的な従来法に比べて精度の高い推定値を与えることを確認した。また、プローブの選択によっては精度の良い推定が極めて困難になるという一種の転移現象が起こることを見いだした。今後は転移現象の詳細を調査することと、提案した手法の有効性を実験的にも証明していくことが課題である。現在、これまでの理論的および数値計算の成果を論文にまとめ、学術誌に投稿済みであり、レフリーの返答待ちの状態である。
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