2009 Fiscal Year Annual Research Report
時計タンパク質ナノタイマーの分子機構解明
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
21023011
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
寺内 一姫 Ritsumeikan University, 生命科学部, 准教授 (70444370)
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Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / ATP加水分解 |
Research Abstract |
シアノバクテリアの3つの時計タンパク質KaiA、KaiB、KaiCとATPによる概日振動する時計の再構成を用いて、KaiCのATPase活性が概日時計の周期(24時間)を規定する化学反応であり、ATPの加水分解エネルギーは時計を駆動し時計の速度を決定していることが明らかとなった。本研究では、KaiCのATP加水分解の反応機構を分子レベルで解明し、概日時計発振のメカニズムに迫ることを目的にする。 X線結晶構造解析により、KaiCは六量体を形成し、各プロトマーの境界にATPが結合し、また2つのリン酸化部位はCII側のATP結合ドメイン近傍に位置する。そのため、CII側のプロトマーの境界の構造変化とATP加水分解反応およびリン酸化が深く結びついていることが示唆される。CIIのプロトマー境界に位置するATP結合部位の近傍には2つのトリプトファン(Trp)残基があり、このTrpの蛍光を指標にATP結合部位近傍の構造変化をモニターできると考えられる。そこで、まずKaiA、KaiB、KaiCとATPによる概日時計再構成系において、このTrp蛍光の強度が概日振動することを確かめた。ATP加水分解に伴い、KaiCの構造が変化していることが明らかとなった。 KaiCのATPase活性の温度非依存性を失った、すなわち温度依存性を示すKaiC変異タンパク質TM1-KaiCのATPase活性は、KaiA存在下で温度依存的となり野生型の20倍にまで上昇する。TM1-KaiCは、もはや時計としては機能できず振動リズムは生じない。そこで、ATP結合部位近傍の2つのTrpの動きを詳細に観察し、KaiCのATPase活性の温度非依存性とプロトマー境界構造変化の相関を描き出すために、野生型および変異型TM1-KaiCにおいて、Trpをフェニルアラニンもしくはアラニンに置換した変異タンパク質の作製を開始した。
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Research Products
(5 results)