2009 Fiscal Year Annual Research Report
光駆動イオン輸送蛋白質の動作機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Innovative nanoscience of supermolecular motor proteins working in biomembranes |
Project/Area Number |
21023014
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古谷 祐詞 Institute for Molecular Science, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (80432285)
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Keywords | ナノバイオ / 赤外分光法 / 生体分子 / 蛋白質 / 生物物理 |
Research Abstract |
イオンポンプ蛋白質は、エネルギー生産や情報伝達に必要な膜電位やイオン濃度勾配の形成に重要な役割を果たしている。本研究では、高精度な赤外分光計測を駆使して、イオンが輸送される過程で生じるタンパク質の構造変化を明らかにし、その輸送機構の解明を行う。特に、イオンがタンパク質内部でどのような包摂状態にあるのかを、周辺に存在するアミノ酸側鎖や蛋白質内部の水分子の分子振動、さらには赤外活性なイオン分子(硝酸イオン)を用い、イオン分子そのものの分子振動から明らかにする。対象となるイオンポンプ蛋白質は光で駆動される古細菌型ロドプシンが主であるが、それらの研究を元に光駆動ではないイオンポンプ蛋白質(Na^+ポンプであるV-ATPaseなど)も研究対象とし、両者の駆動メカニズムの違いを明らかにする。 平成21年度は以下のような研究成果を得た。1.べん毛モーター蛋白質複合体を構成するPomA/PomB蛋白質に対するATR-FTIR計測に成功した。Na^+イオンの結合に伴う赤外差スペクトルを計測することで、PomBに対するNa^+の結合部位をAsp24と同定した(Y.Sudo et al., Biochemistry 48,10136-10145)。2.アナベナセンサリーロドプシンの217番目のアミノ酸残基を置換することで、細胞外側から内側へと通常とは逆向きにプロトンを輸送するタンパク質を作製することに成功した(A.Kawanabe et al., J.Am.Chem.Soc.131,16439-16444)。3.時間分解赤外分光装置を新規に立ち上げて、バクテリオロドプシン(プロトンポンプ)およびハロロドプシン(塩化物イオンポンプ)の3850-900cm^<-1>の中赤外領域でのスペクトル変化を12.5μsecの時間分解能で取得することに成功した。
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Research Products
(35 results)