2009 Fiscal Year Annual Research Report
イネをモデルとした自己免疫不全型雑種弱勢発生機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
21024002
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
久保山 勉 Ibaraki University, 農学部, 准教授 (10260506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (10305162)
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Keywords | 生殖隔離 / 雑種弱勢 / Oryza sativa / イネ / 白葉枯病抵抗性遺伝子 / 過敏感細胞死 / 育種 / 種分化 |
Research Abstract |
イネではHWC2の対立遺伝子Hwc2-1とHWC1の対立遺伝子Hwc1-1との遺伝子間相互作用によって雑種弱勢が誘導される(雨宮と明峰1963).私たちはこの2つの原因遺伝子について単離し、雑種弱勢のメカニズムを明らかにすることを目的に研究を行った.雑種弱勢を誘導するJamaicaのHWC1対立遺伝子Hwc1-1にH587→R587となるように塩基置換を導入し形質転換を行うと弱勢は生じなくなった。また、弱勢を誘導しないKasalathのHWC1対立遺伝子hwc1-2にR587→H587となるように塩基置換を導入したところ形質転換体は弱勢を誘導することが出来た。このことからJamiacaの対立遺伝子に生じたH587を生じる塩基置換がHWC1を雑種弱勢原因遺伝子にしたのだと考えられた。一方、日本晴のHwc2-1と最も似た塩基配列を持つKatakutaraのhwc2-2の間には10bpの中に4塩基置換が生じており、2つのアミノ酸に置換が生じている。これらのアミノ酸置換のどれが雑種弱勢の原因であるのかを明らかにするためKatakutaraのhwc2-2に塩基置換を導入し、アミノ酸置換が1つずつとなるよう2種類の形質転換体を作成したがいずれも雑種弱勢を誘導しなかった。今回調査した2つのアミノ酸残基はすべて日本晴と一致する時にだけHWC2が弱勢を誘導できるのだと考えられる。HWC2について,遺伝子周辺のハプロタイプがHwc2-1を持つ品種に近い15品種のHwc2-1,hwc2-2の塩基配列を決定した。その結果Hwc2-1がどのような対立遺伝子から進化したのかを推定することができるようになった。しかし、最後のステップとなる1箇所に生じた10塩基中4塩基の置換については中間型が見つからなかった。インドの品種P.T.B.10とP.T.B.7の間で見られる雑種弱勢の原因遺伝子HWA1,HWA2の連鎖分析を行い,両遺伝子とも第11染色体長腕に位置することが明らかになった.
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