2009 Fiscal Year Annual Research Report
倍数化を伴う種分化による植物多様化と適応遺伝子の進化
Publicly Offered Research
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
21024005
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
工藤 洋 Kyoto University, 生態学研究センター, 教授 (10291569)
|
Keywords | 植物 / 進化 / 生態学 / 倍数化 / 多様化 |
Research Abstract |
タネツケバナ属の異質倍数種の種分化過程を明らかにするために、複数の低コピー核遺伝子であるCHAとAP3の配列を40種について決定し、属内の系統樹を明らかにした。系統樹は、2倍体種の分化過程において水湿地への適応が一度起こり、その後、乾燥地の一年草種と湿地の多年草種間に由来する異質倍数体の繰り返しの進化が同属の多様化を促進したことを示唆していた。異質4倍体種とその推定両親種の比較栽培試験の結果と併せて論文を準備中である。また、現在、網羅的発現解析の手法を用いて、異質4倍体種の遺伝子発現における両親種由来別の貢献度を、乾燥条件と水没条件において比較する準備をすすめている。同時に、候補形質の探索を行った結果、水湿地への適応において根の放射パタンに大きな変化があり、通気組織を発達させているものがあることがわかった。また、自家不和合性、和合性のスクリーニングをおこない、両親種とそれに由来する異質倍数体種の繁殖様式との間にある関係を解析した。また、フローサイトメータを用いてゲノム量のスクリーニングをおこなったところ(一部の結果はMarhold et al.2010に公表)、同じ倍数性の種間にもゲノム量に変異があり、自殖性の種ではゲノムサイズが小さい傾向があった。シロイヌナズナ属4倍体ミヤマハタザオの分布域全域からサンプルについて複数の核遺伝子を解析し、倍数化が複数回起源したことを強く示唆した(Shimizu-Inatsugi et al.2009)。このうち、本州中部に分布するタチスズシロソウにおいて、交配前隔離の重要な形質である開花時期に遺伝的な集団間分化が検出された。
|