2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム障壁を支える雌蕊生殖器官形成機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Genome Barriers in Plant Reproduction |
Project/Area Number |
21024008
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
相田 光宏 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 特任准教授 (90311787)
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / 発生・分化 |
Research Abstract |
雌蕊は受粉から受精・胚発生へと到る一連の生殖過程を支える重要な器官である。我々はこれまでに、茎頂分裂組織形成および維持の分子メカニズムについて研究を行い、シロイヌナズナのNAC型転写因子をコードするCUC1およびCUC2遺伝子が、シュート器官の分離と茎頂メリステム形成における主要な調節因子であること明らかにしてきた。そしてその過程でCUC遺伝子が雌蕊発生初期のメリステム様組織である内側隆起の形成を促進し、そこから生じる胚珠、隔壁、および心皮融合部の形成に必須であることを明らかにした。本研究は、CUC遺伝子の内側隆起形成における機能解析を通じて、生殖過程を支える雌蕊生殖器官の形成メカニズムを明らかにすることを目的とする。 今年度は、KNOX型転写因子をコードするSTM遺伝子について、cuc1 cuc2二重変異体、CUC1過剰発現体、CUC2過剰発現体における発現を調べたところ、この遺伝子が雌蕊においてもCUC1とCUC2の発現制御を受けていることが明らかになった。またcuc1 cuc2二重変異体の背景でSTM遺伝子を強制的に発現させたところ、雌蕊の表現型が部分的に回復した。以上から、雌蕊形成においてもSTMがCUC1とCUC2の下流で機能することが強く示唆された。また、心皮の融合に異常を示すcrc、sptとcuc1、cuc2との多重変異体の解析から、4遺伝子の相互作用が正常な心皮の発達に重要であることも示した。
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