2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質分解による時空間的リン酸化シグナル制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Proteolysis in the Regulation of Biological Processes |
Project/Area Number |
21025009
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松沢 厚 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (80345256)
|
Keywords | リン酸化 / ユビキチン化 / キナーゼ複合体 / タンパク質分解 / TRAFアダプター分子 / サイトカイン / CD40受容体 / TLR受容体 |
Research Abstract |
本研究は、ユビキチン化を介した蛋白質分解による時間的・空間的シグナル伝達制御システムを介して、1つの受容体刺激から多様な細胞応答が生み出されるメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的としている。B細胞の機能制御に関わるサイトカイン受容体の一つ、CD40受容体では、MEKK1キナーゼシグナル複合体が形成され、その複合体構成因子で時空間的シグナル制御システムの中心的分子であるユビキチン化酵素c-IAPによるTRAF3アダプター分子のユビキチン化分解が、下流のMEKK1キナーゼシグナルの活性化のタイミングと細胞内局在決定に必須であることが分かっている。今回、c-IAPのCD40刺激依存的な活性化メカニズムについて解析し、c-IAPのK63結合型ユビキチン化がその活性化に重要であり、そのユビキチン化酵素としてTRAF2を同定した。TRAF2はCD40受容体との会合を介した自己ユビキチン化により活性化されると考えられ、これらユビキチン化の連鎖、言わば「ユビキチン化カスケード」によるキナーゼシグナルの新たな時空間的制御機構が明らかとなった。 さらに、このようなシステムが、CD40以外の受容体、例えば自然免疫受容体TLRの下流でも保存されているか否かについて検討を行った。その結果、CD40受容体→TRAF2→c-IAP→TRAF3→MEKK1キナーゼ活性化という経路と同様に、TLR受容体→TRAF6→c-IAP→TRAF3→TAK1キナーゼ活性化経路の存在が明らかとなり、本システムが様々なサイトカイン受容体や自然免疫受容体下流に共通に存在する普遍的な仕組みであることが判明した。以上のように、ユビキチン化の連鎖による蛋白質分解を介して、リン酸化シグナルのタイミングや細胞内局在が微妙に調節されることで、1つの受容体刺激から多様な細胞応答が生み出されるものと考えられる。
|
Research Products
(7 results)