2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜タンパク質の分解とその調節の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Proteolysis in the Regulation of Biological Processes |
Project/Area Number |
21025011
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
駒田 雅之 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (10225568)
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Keywords | ユビキチン / 脱ユビキチン化酵素 / メンブレントラフィック / エンドサイトーシス / 受容体ダウンレギュレーション / タンパク質分解 / リソソーム |
Research Abstract |
細胞膜タンパク質は、ユビキチン化依存的にエンドサイトーシスされ、リソソームに輸送されて分解される。我々はこれまでに、ヒト培養細胞において脱ユビキチン酵素UBPYがユビキチン化された増殖因子受容体を脱ユビキチン化し、そのリソソームでの分解を負に調節していることを見出している。本研究では、このUBPYの意義を多細胞生物個体レベルで検証するため、RNAi法によりUBPYをノックダウンしたショウジョウバエの解析を行ってきた。そして本年度、すべての解析が終了し、論文発表を行ったMukai et al. EMBO J.29, 2114-2125, 2010)。 研究概要は以下の通りである。モルフォゲンであるWingless/Wntの細胞膜上の受容体であるFrizzledが、ユビキチン化依存的にリソソームに輸送されて分解されることを見出した。さらに、脱ユビキチン酵素UBPYがFrizzledからユビキチンを外してそのリソソームでの分解を抑制することにより、Frizzledの細胞膜上の量を上昇させていること、そしてそれが細胞のWnt応答性を高めるための新たなメカニズムであることを培養細胞および多細胞生物個体レベルで解明した。 ユビキチン化によるFrizzledの調節についてはこれまで全く知見がなかったことから、この論文は特に顕著な発見として、その掲載号のHave you seen?のセクションで取り上げられた(Cadigan, EMBO J.29, 2099-2100, 2010)。またこの発見はヒトの癌の発症機序の解明にもつながる可能性があることから、2010年6月28日付の日経産業新聞にも掲載された。
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