2009 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺プロテアソームの機能
Publicly Offered Research
Project Area | Proteolysis in the Regulation of Biological Processes |
Project/Area Number |
21025023
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
新田 剛 The University of Tokushima, 疾患ゲノム研究センター, 学術研究員 (30373343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高浜 洋介 徳島大学, 疾患ゲノム研究センター, 教授 (20183858)
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Keywords | プロテアソーム / 胸腺 / 獲得免疫 / T細胞 / MHC / 抗原ペプチド |
Research Abstract |
胸腺プロテアソームは、新規の触媒サブユニットβ5tを構成因子として含み、胸腺特異的に発現される特殊なプロテアソームである。β5tは他のβ5サブユニットとは異なるプロテアーゼ活性を示し、皮質胸腺上皮細胞(cTEC)に特異的に発現される。β5t欠損マウスはCD8T細胞の低産生を示すが、そのメカニズムは不明であった。そこで、CD8T細胞の分化における胸腺プロテアソームの役割と機能を明らかにすることを目的として研究を行った。まず、複数のTCRトランスジェニックマウス系統を用いて、β5tがCD8T細胞の正の選択を制御することを明らかにした。β5t欠損マウスでは、皮質上皮細胞に発現されるMHC class I/ペプチド複合体が正常マウスとは異塗っていた。また、β5t欠損マウスでは産生されるCD8T細胞のアロ抗原応答能およびウィルス感染抵抗性が著しく低下することが示された。これらの結果から、胸腺プロテアソームは、ユニークなMHC class I結合性ペプチドを産生することで、非自己抗原を認識するためのCD8T細胞の有用レパトア(immunocompetent repertoire)の形成を制御することが示唆された。胸腺特異的なタンパク質分解システムが免疫系による・自己と非自己の識別に重要な役割を果たすことを示した、きわめて興味深い成果といえる。現在、胸腺プロテアソームによって産生されるペプチドの同定と、胸腺プロテアソームを発現する皮質上皮細胞の性状と分化系譜についての研究を進めている。
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