2010 Fiscal Year Annual Research Report
滑脳症治療への挑戦:カルパインによるリスワン分解機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Proteolysis in the Regulation of Biological Processes |
Project/Area Number |
21025028
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
広常 真治 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80337526)
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Keywords | 神経細胞 / 滑脳症治療 / カルパイン / 阻害剤 |
Research Abstract |
滑脳症は発生期における神経細胞の遊走障害によって起こる平坦かつ肥厚した大脳皮質を特徴とする先天的な中枢神経系の形成不全である。臨床的には重度の精神遅滞とてんかん発作を特徴とし、有効な治療法はない。原因はその60%が染色体17番のLIS1のヘテロの変異によるハプロ不全である。我々はLIS1が細胞質ダイニンの制御因子であることを明らかにしたが、その過程でLIS1がカルパインによって分解されることを見出した。そこで我々はカルパイン阻害剤による滑脳症治療の可能性をLIS1ヘテロ変異マウスを滑脳症モデルとして検証した。カルパイン阻害剤は線維芽細胞、神経細胞においてLIS1タンパク質を回復させ、細胞質ダイニンやオルガネラの局在の異常を改善した。また、小脳顆粒神経細胞を用いた神経細胞遊走実験から、カルパイン阻害剤は遊走障害を回復させた。さらに妊娠したLIS1ヘテロ変異マウスに対し腹腔内にカルパイン阻害剤を投与した結果、神経細胞の遊走が改善し、脳層構造が正常化した。また、BrdU標識による神経細胞の位置確認においても改善が認められた。さらに、TUNNEL染色を用いたアポトーシス細胞の測定においてもアポトーシスによる神経細胞死の軽減も認められた。機能的にもマウス行動解析においても改善が認められた。これらのことから、タンパク質分解のメカニズムを解明し、その阻害剤によってタンパク質代謝への介入は遺伝子疾患に対する新たな治療の道を開く可能性があることが分かった。
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[Journal Article] Trichoplein controls microtubule anchoring at the centrosome by binding to Odf2 and ninein.2011
Author(s)
Ibi M, Zou P, Inoko A, Shiromizu T, Matsuyama M, Hayashi Y, Enomoto M, Mori D, Hirotsune S, Kiyono T, Tsukita S, Goto H, Inagaki M.
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Journal Title
J Cell Sci.
Volume: 124
Pages: 857-864
Peer Reviewed
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