2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患におけるタンパク質分解経路間のクロストークの個体レベルでの統合的理解
Publicly Offered Research
Project Area | Proteolysis in the Regulation of Biological Processes |
Project/Area Number |
21025042
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
永井 義隆 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第四部, 室長 (60335354)
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Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / 蛋白質分解 / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
近年、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン(PolyQ)病など多くの神経変性疾患において、タンパク質のミスフォールディング・凝集が神経変性を引き起こすという共通の発症分子メカニズムが考えられるようになった。本研究では、神経毒性を発揮するミスフォールドタンパク質を除去する分解システムに着目し、神経変性疾患におけるユビキチン・プロテアソーム系とオートファジー・リソソーム系分解経路間のクロストークを含めたタンパク質分解システムの異常を個体レベルで解明し、ミスフォールドタンパク質の分解促進による治療法を開発することを目的として、以下の研究を行った。 1)両タンパク質分解経路の活性をin vivoでモニターできるショウジョウバエGFP-LC3 Fly、mDsRed-CL1 Flyを樹立した。PolyQ Flyとの交配を行ったところ、明らかなプロテアソーム系分解活性の低下は認めなかった。2)選択的オートファジーに関わると考えられているp62について、その欠損によりPolyQ病モデルショウジョウバエの複眼変性の有意な増悪を認め、p62がPolyQタンパク質のオートファジー分解に重要な働きを持つと考えられた(前年度)。今年度は異常伸長PolyQ鎖特異的結合ペプチドQBP1とp62のキメラ蛋白質p62-QBP1をデザインし、培養細胞系でPolyQタンパク質の分解を検討した結果、異常伸長PolyQタンパク質の選択的な分解誘導を認めた。 本研究により、異常伸長PolyQタンパク質選択的な分解誘導によるPolyQ病に対する治療法開発への道筋が示された。
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