2009 Fiscal Year Annual Research Report
脳細胞傷害時のグリア活性化におけるToll-like受容体系モーダルシフトの役割
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
21026001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
南 雅文 Hokkaido University, 大学院・薬学研究院, 教授 (20243040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 貴博 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90399957)
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Keywords | 神経細胞傷害 / アストロサイト / MCP-1 / Toll-like受容体 / HMGB1 / グリチルリチン / 脳スライス培養系 / セルセンサー |
Research Abstract |
HMGB1はDNAの安定化や転写調節等に関わるDNA結合タンパクであるが、細胞が傷害されると細胞外に遊離・漏出されサイトカイン様に働くことから、様々な病態時の細胞間情報伝達の担い手として注目されている。そこで、通常は細胞内に存在するHMGB1が細胞間情報伝達分子として働き、本来は細菌等の外来性分子に対するセルセンサーであるTLRが内在性分子HMGB1に対するセルセンサーとして機能するという「セルセンサーとその適刺激のデュアルモーダルシフト」が、脳細胞傷害によるグリア細胞活性化に関与する可能性について、脳スライス培養系を用いて検討した。NMDAによる神経細胞傷害時に神経細胞でのHMGB1免疫活性が消失し、培地中HMGB1量が増加することを明らかにした。また、NMDA処置による神経細胞傷害が、グリア細胞におけるMAPキナーゼ活性化を介してMCP-1をはじめとする諸種のサイトカイン/ケモカインの発現を亢進させることを明らかにしている。そこで、これらNMDAによるサイトカイン/ケモカイン発現亢進に対するHMGB1阻害薬グリチルリチンの効果を、ケモカインMCP-1産生誘導に着目して検討した。その結果、グリチルリチンはNMDA処置によるアストロサイトでのMCP-1産生を、mRNAレベル、タンパクレベルの両方において部分的ではあるが有意に抑制した。一方、LPSやIL-1βによるMCP-1産生に対しては、グリチルリチンは抑制効果を示さなかった。これらのことから、NMDAによるMCP-1産生に対するグリチルリチンの抑制効果は、MCP-1を産生するアストロサイトへの直接的な作用ではなく、傷害を受けた神経細胞から細胞外に漏出したHMGB1を細胞外でトラップすることによってその作用を発揮している可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)