2009 Fiscal Year Annual Research Report
複数のストレスセンサーからのシグナルを統合するしくみ
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
21026003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 麻己人 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50254941)
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Keywords | Keapl / 酸化ストレス / 遺伝学 / 親電子性物質 / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
本研究の目的は、さまざまな種類のストレスに対し、どのような機構がどのように応答して、私たちの体を守るのかを明らかにすることである。題材として選んだのは、多種多様のストレスに応答する生体防御システムNrf2システムである。これまでの研究により、ストレスシグナル感知に異常を示す突然変異動物の単離・系統化や動物個体を用いた新規センサー分子の探索システムの構築に成功し、複数のストレスセンサーがNrf2を活性化することを見出した。 本年度は、過酸化水素センサーと小胞体ストレスセンサーの同定と、特定ストレスにのみ感知できない突然変異ゼブラフィッシュ系統の解析に取り組んだ。その結果、次の3点を明らかにできた。 1酸化ストレスセンサー候補にGpx4が、また、小胞体ストレスセンサー候補にPerkが浮かび上がった。今後、シグナル統合システムを解く上で重要な基盤となる。 2ジエチルマレイン酸・過酸化水素などに応答できるが、キノン類・プロスタグランジン・重金属などには応答できない突然変異系統it275系統の原因遺伝子の候補が、染色体マッピングにより数遺伝子にまで絞られた。注目すべき遺伝子が二つ存在しており、早急に同定したい。 3ストレスに応答して発光するGFPフィッシュと蛍光プレートリーダーを活用した、Nrf2活性化剤解析システムを構築した。これを用いて、内在性の抗炎症シグナルとして注目されているニトロ化脂肪酸が、シクロペンテノン型プロスタグランジンと同様の感知経路でNrf2を活性化することを見出した。ニトロ化脂肪酸は、プロスタグランジンと異なり、比較的簡便に誘導体を有機合成できる。シグナル感知の分子基盤を知る上での優れたツールとなると期待される。
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