2009 Fiscal Year Annual Research Report
プロトンとリゾ脂質をセンスするG蛋白共役型受容体の情報変換機構と生体機能
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
21026004
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
戸村 秀明 Gunma University, 生体調節研究所, 准教授 (70217553)
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Keywords | プロトン感知性GPCR / TDAG8 / マクロファージ / 炎症性サイトカイン / cAMP |
Research Abstract |
細胞外pHの低下は、周辺の組織や細胞の機能を変化させるが、そのメカニズムの詳細は不明である。OGR1、GPR4、TDGA8、G2Aは細胞外プロトンを感知するユニークなGPCR群であることが我々のものを含め、報告されてきた(OGR1ファミリー)。我々は細胞外pHの低下に伴う細胞応答のモーダルシフトに、このファミリーが関与するものと考えている。本年は炎症応答におけるOGR1ファミリーの役割とその作用機構の解析を行った。マクロファージ、好中球などの炎症性細胞では、細胞外pHの低下に伴って、炎症性サイトカインの産生が低下する。しかしながら、この酸性条件下におけるサイトカイン産生の低下のメカニズムは不明であった。1)マウスマクロファージのTLR4受容体をリポポリサッカライド(LPS)で刺激するとTNF-α、IL-6産生が増加するが、この応答は細胞外pH低下によって抑制された。マクロファージではTDAG8、OGR1の発現が観察された。そこで、TDAG8、OGR1受容体欠損マウス由来のマクロファージを用い、同様の実験を行ったところ、細胞外pH低下による抑制応答はTDAG8欠損マウス由来のマクロファージでは部分的に解除されたが、OGR1欠損マウス由来の細胞では影響がなかった。(2)TDAG8の過剰発現細胞では細胞外pH低下はGsを介し、アデニル酸シクラーゼ/cAMP系を活性化した。そこで、cAMP誘導体やcAMPホスホジエステラーゼ阻害薬の他、プロスタグランジン・β-アドレナリンなどのアデニル酸シクラーゼを活性化するアゴニストなどで、同様にサイトカイン産生が抑制されるかどうかを調べたところ、cAMP増加がこの抑制作用を仲介していることが判明した。(3)Gsαに対するsiRNA、プロテインキナーゼA(PKA)阻害薬H89でも作用が抑制された。これらの結果から、細胞外pH低下による炎症性サイトカインの産生の抑制はTDAG8/Gs/cAMP/PKAを介しているものと推定された。
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Research Products
(14 results)