2009 Fiscal Year Annual Research Report
精子の機械受容とストレインセンサーダイニンの情報変換・統合機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular interaction and modal shift of cellular sensors |
Project/Area Number |
21026006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真行寺 千佳子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 准教授 (80125997)
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Keywords | 分子モーター / ナノバイオ / 精子 / ダイニン / 力学センサー |
Research Abstract |
本研究課題では、ウニ精子のもつ機械受容反応の一つである鞭毛反応に着目する。鞭毛の振動運動の原動力となる微小管滑り運動を起こすダイニンにストレインセンサーとしての機能があり、その特性が鞭毛反応に関係していると推測される。そこで、21年度は、(1)ダイニンが、1分子内で起こす化学力学変換、および、(2)隣り合う分子が微小管を介して相互作用を展開するときの情報伝達が、機械刺激により変化する過程を解析することを目指した。(1)については、ヌクレオチド結合に依存した情報変換の過程がダイニン活性の制御に組み込まれているというモデルに基づき、ダイニンが微小管と安定して結合する条件を探索した。具体的には、非加水分解ATPアナログを用いてダイニン制御部位へのATP結合を模倣し、滑りの前後のダイニンと微小管との相互作用の変化を解析した。その結果、ATPアナログの結合により、ダイニンと微小管との相互作用が強められる、または滑りの速度が上がることがわかった。(2)については、ガラスに付着させたダイニンの活性解析から、N末部分の付着が活性を増大させること、鞭毛から抽出したダイニンでもダブレット上に付着したままであれば外部からの機械的変形に反応しうるという結果を得た.これらの結果から、ダイニンのN末端の構造的安定化がストレインセンシングに重要であると推測される。
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